STAR SPHERE

STAR SPHERE プロジェクト

STAR SPHERE（スタースフィア）は、ソニーが宇宙航空研究開発機構（JAXA）と東京大学との協力のもとで進めている新たな宇宙関連サービスです。人工衛星に搭載されたカメラを遠隔操作して、動画や静止画を撮影することができるこのサービスは、「宇宙を解放する」というコンセプトのもとで展開されます。従来の高額な宇宙旅行や地球観測衛星の画像に代わり、お手軽に宇宙からの視点を体験できることを目指しています。

プロジェクトの背景と経緯

このプロジェクトは、2016年に宇宙関連の法律が成立したことから始まりました。ソニーの本村謙介は、内閣府の宇宙開発戦略推進事務局と連携し、JAXAとともに宇宙ビジネスに関する講演会を開催し、100名以上の社員が参加しました。これを契機に、ソニーは宇宙開発へ本格的に取り組み始めました。2020年には、ソニー、JAXA、東京大学の間で「宇宙感動体験事業」の共創契約が結ばれ、プロジェクト名も「STAR SPHERE」と命名されました。2022年にはクラウドファンディングを実施し、予定より多くの資金を集めることに成功しました。

人工衛星「EYE」について

このプロジェクトの中核を成すのが、人工衛星「EYE」です。この衛星は、6U規格（10cm×20cm×30cm）に基づいて設計され、4K解像度で動画と静止画を撮影することができるソニー製カメラを搭載しています。地上との通信を行うアンテナやセンサー、姿勢制御システムも備え、太陽エネルギーを利用して運用されます。特に注目すべきは、初めて採用された水蒸気式推進機であり、安全性が高まっています。

また、EYEは高度524Kmの低軌道を周回しており、約90～95分で地球を一周します。このため、撮影する地域も日本だけでなく、広範囲に及びます。

パートナーシップの展開

このプロジェクトには複数のパートナーも関与しています。コニカミノルタプラネタリウムは、EYEで撮影された映像を使ったプラネタリウムコンテンツの製作を予定しています。また、日本旅行とソニーは、宇宙関連の教育プログラムの共同開発にも合意しました。このように、STAR SPHEREはエンターテインメントだけでなく、教育や科学普及にも寄与することを目指しています。

提供されるサービス

サービスは2種類のコースを予定しています。「宇宙撮影ツアー」は、比較的低価格での参加が可能で、ガイドがアレンジしたコースに従って撮影を行います。「宇宙撮影プレミアム」では、特定のアングルでの撮影を任意のタイミングで行うオーダーメイドサービスが提供されます。ユーザーは、50枚のJPEG画像や30枚のRAW画像、30秒の動画をダウンロードできます。

また、撮影に際しては専用のシミュレーターを使用し、直感的な操作が可能です。参加にはクルー登録が必要で、個人でも登録できます。価格は撮影方法に応じて変動し、手軽なコースは1～2万円、より自由度の高いオーダーメイドコースは約50万円を予定しています。

ただし、2023年4月に衛星の姿勢制御や通信に不具合が発生し、予定通りのサービス提供が難しい状況にあります。サービスを開始するためには、仕様変更が必要とされています。

まとめ

STAR SPHEREは、ソニーとJAXA、東京大学が協力して進める革新的なプロジェクトです。新たな宇宙の視点を提供することで、エンターテイメントや教育の分野に新しい風をもたらすことを期待しています。

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